能の楽しみ方5選。知識なし、初心者以下のぼくが思う能のおもしろさ

先日おそらく人生初となる能の観劇に行ってきました。場所は京都、本場です。高校時代の後輩が京都大学の観世会という能を舞うサークルに入っていて、たまたまぼくが京都行きを予定していた日に定期公演があるとのこと。並々ならぬ縁を感じて能観劇へ行くことに。

ぼくは能についての知識はゼロです。能を含む日本の伝統芸能って、知識がないと楽しめないと思われている部分が少なからずありますよね。ぼくもそう思っていました。でも今回実際に観劇してみて、こりゃあ知識がなくてもおもしろいわあ、と。興味はあるけど勉強不足で二の足を踏んでしまう… という方を少しでも後押しできれば、と思ってぼくが感じたおもしろさを共有しておきましょう。

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1. ひとがゆっくり歩いてる!

ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと歩くひとを観るのがこんなに興味深いことだとは思っていませんでした。かなりもこもことした衣装(正式にはなんて言うんでしょう…)を纏っているので、客席から見えるのは表情と足ぐらいなんですが、これがすごくおもしろい。歩を進めるときのつま先の角度、身体の体重の移動の仕方、視線の位置などなど、いろいろなことを考えさせてくれます。

歩くことについては以前少し考えていたのでなおさらです。

参考:毎日歩いているなんて幻想だ。ぼくらがほんとうに「歩く」とき

2. 扇が震えてる!

能では扇を使って舞うのですが、これをスッとのばした手の先に持っているとき、扇が震えたり震えなかったりするんです。最初はすごく力んでいるから震えているのかと思って見てましたが、そうでもないのかな。自分でやってみるとわかります。普段完全に静止してると思っている自分の身体も、意図しない筋肉の微妙な動きや鼓動によって動かされている。そういうことなんじゃないか。だから能を舞っているひとはじつはすごくリラックスしているのかもしれない。

扇ひとつとってみてもここまでたくさんの想像をくれるすごさですよ。

3. 舞い手の個性!

素人のぼくからしたら、同じような舞をしているように見えるのですが、やっぱり舞い手の個性というものが見える。演目によって激しいの、おとなしいの、とあるでしょうがそれを考えてみてもやっぱりあるんです。うまくはいえないけれど、舞台を踏む動作の素早さとか、移動の強弱とか。表情なんかもそうですね。涼しい顔のひともいれば汗だくのひともいる。汗だくは個性ではないか…

そして、こんな雰囲気の舞を舞うのだろうな、と思っていたひとが思っていたのと全然違う動きをしたりすると、これがまたおもしろいのです。

4. 動きのパターン

複数の演目を観ていると、なんとなく動きにパターンがあるのがわかってくる。ぼくが気になったのは2回まわって前を向き、そのあと少し後ろに下がる、という動作。おそらく何かの型で、重要な意味を持つのだろうけど、知識のないぼくにはわかりません。でも能には型がたくさんある、というメタ知識(?)は持っていたので、なんだかわからないけどこれは型なのだな、ということは伝わりました。これだけでも充分楽しめますよ。内容は知らなくても、あの型は次どこで出てくるんだろう… なんて想像しながら観るのもいいと思います。

5. わからないけどすごいもの!

さあ、だんだん核心部分に近づいてきました。ぼくが今回の能観劇で一番感激したこと、それは「なんだかわからないけどすごいもの」の威力です。京大生が演じている能なので、プロというわけではないのですが、逆にプロではないからこそ「手の届く範囲のすごさ」をみせてくれたような気がしています。

ぼくの後輩だって大学に入ってから能を始めたわけですが(ぼくの知らないところでそういうバックグラウンドがあったらびっくりです)、それが4年経ってワキを演じるまでになっている。本気でやっている、ということが舞台の最初から最後までビシビシと伝わってきました。

自分がわからないものってエネルギーをくれるんです。なまじわかってしまうと、そのわかっている部分にどうしても注目してしまうため、全身で能を観よう、もっと言うと受信しようと身体の感度をあげるのが難しくなる気がします。もちろん、いろいろわかった上での楽しみ方も無限にあるでしょうけど。

参考:部屋にひとつ、未知のなにかを置いておこう

素人は素人なりに楽しめるもんだということを伝えて終わりにします。なんだか最近エネルギー不足だな… と感じているひとは能を観に行くといいかもしれませんよ。ほんとうに。

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