青春の味、ブラックサンダー

ブラックサンダーという駄菓子をご存知だろうか。1個30円ぐらいで買えるチョコレート菓子である。これがぼくの青春の味なんですよ〜という話を職場の先輩にしたら、定期的に買ってきてくれるようになった。

青春の味といっても、カルピスのCMのような「初恋の味」的なものを想像されては困る。われわれの闘いは過酷を窮めるものだった。

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ぼくが通っていた神奈川県の公立高校は校舎がボロく、汚く、ホコリっぽいことで有名だった。入学したころは喘息の再発をおそれていたほどである。そして当然のようにクーラーが設置されていない。あのころの夏は、いまほどの猛暑ではなかったと記憶しているが、クーラーなしで真夏を乗り切るほど涼しいなんてことはない。

クラシックギターで合奏をする部活に入っていたので、毎日必ず部員全員がひとつの部屋に集まって合わせる練習がある。部員3人とかならまだよいが、これが60人とか80人とかになるともはや養鶏場さながらの熱気だった。

クラシック曲というのはたいてい長い。部活の伝統曲であったブランデンブルク協奏曲第3番(通称:ブラサン)にいたっては、フルで弾くと20分ほどかかる。そういった大曲を、熱気のこもった無風の教室で演奏するのだ。したたる汗でギターが腐るのではないかと思われた。

練習が終わると、塩分や糖分を摂取せよという脳の命令にしたがって、ぼくらはフラフラと教室を出る。そんなときにありがたかったのが、OBやOGの先輩方が差し入れてくれた駄菓子、ブラックサンダーである。伝統曲の通称にちなんでよく買ってきてくれた。コンビニに行く体力も気力もお金もなかった高校生にとって、このチョコレート菓子は貴重なミネラル源であった。半分ぐらい溶けていたけれど。

青春というものが血と涙と汗でできているのだとすれば、ブラックサンダーはそれらの栄養源となったことは間違いない。

職場の先輩にもらったブラックサンダーを、クーラーの効いた部屋で食べながら思う。「きょうも外は暑そうだ」
そしてあの日々にはもう二度と戻れないことに気づく。

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