ノコギリを挽き、爪を整え、墨をすり、泥団子を磨く。静かな集中状態

先日、無性にノコギリが挽きたくなったという話をした。ノコギリを挽いていると、さまざまな雑念や煩悩が振り払われ、世界には木とノコギリと自分の腕の筋肉しかなくなる。

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往復運動というのは身体によいものなのかもしれない。ノコギリを挽く作業というのは、押して引くを繰り返しながら徐々に木材を2つに分けていく営みだ。

「往復」「徐々に」

この2つが心地よさをつくりだしているように思う。

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爪を整える

ギター(特にクラシックギター)を弾くひとは、爪をやすりで整える。使いやすいサイズに切ったやすりを左手に持ち、そこへ右手の爪をあてて細かく往復させる。

やすりには粗さに番号がついていて、数字が大きくなるほど目が細い。たとえばプラモデルなどに使われるやすりはだいたい#1000ぐらいまでだが、多くのギタリストの爪にとって#1000はかなり粗い。丁寧に磨く場合はたくさんの種類のやすりを用意して徐々に番手を上げていき、最後は#10000とか#12000で仕上げるというひともいる。番手が5桁になるともはややすりではなくツルツルの布といった感じになる。

そしてこの爪磨き、けっこうハマるのだ。ギターを弾くために爪を整えはじめたのだが、いつまでたってもギターにたどり着かないこともしばしば。

墨をする

書道のとき、硯で墨をすると心が落ち着くというのも同じだろう。墨を水で濡らしながら硯の陸(おか)で往復させる。

小学校の書道の授業は好きではなかったが、硯は好きだった記憶がある。45分という短い授業で墨を最初からすっていると、それだけで終わってしまうので墨汁を使うよう言われていた。墨をすれないぶん、硯が好きになったのかもしれない(?)。

泥団子を磨く

あるいは、人生をもっと遡ると公園で泥団子を作っていた時期にぶち当たる。水と砂を混ぜてこしらえた泥団子に、乾いた細かい砂を振りかけてツヤを出すのだ。往復運動ではないものの、徐々に磨き上げていくという点ではノコギリや爪や墨と共通する。

静かな集中

このような種類の営みは無数にあると思う。普段からそれを行なっているが、そのようなものとは知らずにいるものもあるだろう。少しずつ発掘していきたい。

冒頭でも書いたが、徐々に進んでゆく身体的な往復運動をしていると、雑念や煩悩が流れていき、余計なことを考えなくなる。激しくはないが、静かな集中状態といったところか。

ノコギリを挽き、爪を整え、墨をすり、泥団子を磨くと心地よいということを知っておくことは、生きていく上でとても役に立つ。

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