第59回グラミー賞 ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞のノミネート作品を聴いてみた

第59回グラミー賞が日本時間2月13日に発表される。音楽の賞ではもっとも権威あるもののひとつだが賞のカテゴリが78もあり(これでもずいぶん減ったらしい)、最優秀アルバム賞などの主要部門以外はテレビ放送すらされない。

ましてインストゥルメンタル楽曲に関するマイナーな賞など、情報を得るだけでもひと苦労である。

インストゥルメンタルに関係のある賞は、クラシックを除くと Best Contemporary Instrumental Album や Best New Age Album 、jazzのいくつかの部門などである。

今回はインストアルバム賞、正式名称は Best Contemporary Instrumental Album のノミネート作品を聴いてみた。
(以下、アルバム名 – アーティスト名)

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1. HUMAN NATURE – Herb Alpert

ジャズトランペッター Herb Alpert。アルバム2曲目の Shake It がとても心地よい。決して口数は多くないがトランペットがふわふわしている。ジャズトランペットといえばこういう雰囲気のものが真っ先に思い浮かぶのでぼくにとってはなじみやすい曲だ。途中でベースがなくなりドラムスとストリングスが音像を拡張していく場面があるが、トランペットの浮遊感とあいまって実際に飛んでいる感覚になる。

音楽の他には抽象絵画と彫刻を本格的に行っているようで、ウェブサイトには妖しげな像が並んでいる。音楽と彫刻の相互インスピレーションの結果なのだろうか。

http://www.herbalpertart.com/art-gallery-sculpture.shtml

2. WHEN YOU WISH UPON A STAR – Bill Frisell

アメリカのジャズギタリスト Bill Frisell によるアルバム。不穏な曲が多いというのが第一印象だった。1,2曲目の To Kill a Mockingbird というのは、日本ではアラバマ物語として知られる1960年代の映画のタイトルである。人種差別が残るアメリカ南部での事件を描いたものだが、この曲を聴けば内容がどんな雰囲気なのかだいたい想像できてしまう。

なんども登場するテーマの中にレスピーギのシチリアーナを思い起こさせるフレーズが聴こえてきて、民族音楽的な懐かしさに拍車をかける。

アルバム紹介のPVがあった。

3. WAY BACK HOME:LIVE FROM ROCHESTER,NY – Steve Gadd Band

セッションドラマー Steve Gadd が率いるバンドのライブCDである。こういったタイプの音楽は聴き慣れていないせいかイマイチつかみどころがわからなかったが、アルバムタイトルにもなっている WAY BACK HOME のライブ映像を観て、これは観る音楽だと気づいた。緊張感を持ってだんだんと曲を盛り上げていく様子で最初に連想したのがラヴェルのボレロだった。

4. UNSPOKEN – Chuck Loeb

4人目はスムーズジャズのギタリスト、Chuck Loeb。5つのノミネート作品の中でこのアルバムが一番好きである。

アルバムタイトルでもある UNSPOKEN のPV。なじみやすいコード進行で曲が進んでいき、ころころと転調を繰り返すが聴くのが難しいということはない。それにギターのまろやかな音色が加わって、まるでお風呂に入っているような感覚が味わえる。風呂といっても日本的な風呂ではなく、ちょっとおしゃれなバスだ。そんな空間に身を委ねれば UNSPOKEN にもなるだろう。

5. CULCHA VULCHA – Snarky Puppy

5つの中で一番ベースがもりもりしていると思っていたら、グラミーベーシストであるマイケル・リーグが率いるバンドであった。ベースのもりもり感が粘り気を増しているのは6曲目の Gø 。Chuck Loeb が温泉だとすればこちらはマグマといったところだ。しかしこの曲、ずっと聴いているといつのまにか粘り気がなくなってしまう。粘り気のない玄武岩質マグマはやがて冷えて固まり、美しい楯状火山を形づくる。

下のページからサンプル音源が視聴できる。
http://snarkypuppy.com/music

第59回グラミー賞 発表は2月13日

いかがだっただろうか。注目されることの少ないインスト曲であるが、グラミー賞の中にもちゃんと賞があるのだ。

5つのノミネート作品を聴いてぼくが勝手に賞を選ぶとすれば、Chuck Loeb の UNSPOKEN だ。それぞれ違った個性があっておもしろいが、アルバム全体を通して聴きたいのはこれだ。日本語解説付きのCDが出ている。

追記

グラミーには Snarky Puppy の CULCHA VULCHA が選ばれました!

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