【後編】ニューエイジ・ミュージックとはなにか。第59回グラミー賞 ベスト・ニューエイジ・アルバム賞のノミネート作品を聴いてみた

前回にひき続き、第59回グラミー賞の Best New Age Album ノミネート作品を聴いていく。

【前編】ニューエイジ・ミュージックとはなにか。第59回グラミー賞 ベスト・ニューエイジ・アルバム賞のノミネート作品を聴いてみた
ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム賞に引き続き、グラミー賞でインスト曲に関係のありそうな部門の曲を聴いてみた。Best...
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ROSETTA – Vangelis

ギリシャの音楽家 Vangelis のアルバムなのだがこの良さがわかるには多少の知識が必要なようである。ロゼッタとは、2004年に欧州宇宙機関によって打ち上げられた彗星探査機で、2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星に着陸機フィラエが表面に降り立った。そういえば、チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星という変な名前の彗星があると聞いてひとりで騒いでいた気がする。

やはりひとりで騒いでいたようだ。

アルバムは「Origins (Arrival)」で探査機の到着から始まり「Starstuff」(星の材料)、「Infinitude」(無限)といった曲が続く。ひとつのストーリーが展開していく構成は Orogen と似ているが、ROSETTA のほうがより直接的な表現となっている。「Exo Genesis」(外因説)、「Albedo 0.06」(反射能)といった専門用語も散りばめられており、Vangelis の宇宙への情熱がうかがえる。

7曲目の「Sunlight」(太陽光)までは進行感の薄い曲が続くが、8曲目の「Rosetta」にいたってはじめて明確なコード進行を持った曲が現れる。続く「Philae’s Descent」(着陸機フィラエの降下)は実際のミッションではもっとも緊張する場面だっただろう。10年に及ぶ長い航海が成功するか失敗するか、全ては着陸機に託されていた。

無事ミッションをクリアしたロゼッタはワルツを踊る。「Mission Accomplie (Rosetta’s Waltz)」(任務達成(ロゼッタのワルツ))

2016年9月30日、ロゼッタは彗星に衝突しその役割を終えた。「Return To The Void」(無限空間に還る)

WHITE SUN Ⅱ – White Sun

宇宙に引き続き今度はヨガミュージックである。マントラ(真言)をひたすら繰り返している音楽のようである。しかもグルムキー語というマイナー言語で唄われているため、言葉の意味が微塵もわからない。それについてヴォーカルの GURUJAS KHALSA はインタビューの中でこう述べている。

when I sing, I just try to align myself with the best parts of me. And I think that’s where we are finding the emotional resonance in the listener. I’m singing songs that elevate me, make me feel good, and take me on an adventure. I know the kind of immeasurable happiness that these songs have brought me, and my hope is to share that sense of wonder with the listener. The ancient mantras that are the lyrics of White Sun’s songs are capable of removing negative thoughts and emotions simply by listening to them.

– INTERVIEW WITH GRAMMY® NOMINATED @WHITESUNMUSIC SINGER GURUJAS KHALSA

身体をベストな状態に調整して唄うことが、リスナーの深い共感を誘うと考えています。歌は自分を高いところに連れて行ってくれ、気持ちよくしてくれます。私は歌がもたらす計り知れない幸福を知っています。そしてその素晴らしい感覚をリスナーと共有したい。White Sun が唄っている古代のマントラは、ネガティブな考えや感情を取り払うことができるのです。

ふむ…

これ以上はどんな説明も意味がないような気がしてきた。

ニューエイジ・ミュージックとはなにか

軽い気持ちでグラミー賞ベスト・ニューエイジ・アルバム賞のノミネート作品を聴き始めたのだが、そこには造山運動からケルト、ポケモン、ヨガ、果ては文字通りの壮大な宇宙が広がっていた。

ニューエイジという音楽ジャンルは、押尾コータローのアルバムが分類されていたこともあって知っていたが、具体的にどういう音楽なのか不明なままだった。調べてみてもはっきりとした説明は得られずにモヤモヤしていたが、今回5つのタイプの異なるアルバムを聴いて、やっぱりわからなかった。ジャンルでくくるのではなく、個々の音楽を楽しむほかないようである。

その懐の深さがニューエイジ・ミュージックなのかもしれない。

追記

グラミーには WHITE SUN Ⅱ が選ばれました!

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