【おすすめインスト】葉加瀬太郎の爽やか「Bon Voyage」を聴こう

葉加瀬太郎の曲で好きなものはどれか、と聴かれたらこの曲を外すわけにはいかない。

葉加瀬太郎のヴァイオリンの特徴が現れているとか、オーケストラの編成が云々といったことを抜きにして、単純に、ただ単に好きな曲なのです。

音楽の素晴らしさを言葉で伝えるのは難しい。

やっぱり音楽そのものを聴いてもらうしかないとは思うけれど、その聴いてもらうためのきっかけとなれば、という思いで書きます。

「Bon Voyage」は2010年のデビュー20周年記念アルバム『Emotionism』に収録されています。

それでは曲をかけましょうか。

…ぽち

赤でアンダーラインを引いたところは、あとで少しだけ解説があります。)

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みずみずしい朝のはじまり

ちょっとハスキーなコーラスとみずみずしいシンセサイザーが朝の到来を告げるところから曲は始まります。

ゆったりとした下降のフレーズを2回繰り返したあと、ドミナントコードが現れ、時間を区切るかのようなドラムスのフィルインが横切って場面転換。

ベースが8分音符を刻み出せば、もうそこには夜明けのような静けさはありません。

でもここはまだイントロ。ハープをエレクトリックにしたような音色が右に左にはじける賑わいの朝に、ピアノの主旋律が少しだけ冷静さを加えます。

ふたたびドミナントコードまで達すると、軽めのフィルインが入っていよいよヴァイオリンの登場だ!

絨毯のような太さを持つヴァイオリン

極太の音色がヴァイオリンから流れ出して面積を持ち、1本の絨毯に織りあがっていくような、そんなイメージ。まさに堂々たるヴァイオリンである。

階段を1段飛ばしで登るようなステップのメロディがAメロの中に何度も出てきます。このステップが流れるようなメロディにアクセントを与え、色彩を豊かにしてくれます。

出発に備えて準備運動しているみたいですね。

ヴァイオリンが登ったり降りたり、歩いたり走ったりしながらだんだんと高揚感を高めていくあいだにも、ドラムスやベースはストレートなリズムをキープしています。時が満ちるのを待っているのです。

 時間を刻む楽しさ

Aメロがワンカットの映像だとすれば、Bメロはフラッシュとともに軽快に画面が切り替わっていくシーン。

身の回りにあるいろいろなものに興味が湧いて、手当たり次第に手をのばす子どものような。

タンバリンなどの新しい楽器が入って楽しさを増したパーカッションを基本に、ベースやシンセサイザー、ヴァイオリンがリズム遊びをします。

最後の2小節はふたたび流れるような旋律が舞い戻り、時は満ちた!と言わんばかりのツーファイブとドラムスのフィルイン。一気にサビへダッシュ!

…のはずだったのだが、なぜかイントロへ戻っている。

サビへ入っていてもおかしくない高揚感を備えつつも、そうやすやすとは到達できない。こういう焦らし、お預けっていちばん気分を盛り上げてくれると思うのです。

この曲の秘密

ちょっとだけ音楽理論的な話をします。理論を知っていると、音楽の楽しみ方に幅が生まれるというか、別の楽しみ方ができるようになります。

理論はちょっと…という方は飛ばしてください。

ドミナントコード
ひとことでいえば曲の中でいちばんエネルギーを持ったコードのこと。ドミナントコードは曲をぐいぐい推し進める効果を持ちます。
まさに堂々たるヴァイオリン
この曲、キーはGメジャー(ト長調)です。Gメジャーキー上ではGのコード(ソシレ)がいちばん安定した響きを持っていて、これをトニックコードと呼ぶのですが、Aメロはまさにこのトニックコードからスタート。さらにヴァイオリンのメロディも主音であるG音(ソ)で重ねられているので、より一層安定感を増すのです。
階段を1段飛ばしで
ここのメロディは、ソ→シ→レ→ソとコードトーンを踏みながら上昇しています。コードトーンというのは、演奏されているコードに含まれる音のこと。ここではGコード(ソシレ)が鳴っているのでコードトーンそのままですね。コードトーンのメロディもやはり安定感をもたらします。
ツーファイブ
コード進行のひとつ。あるキーの中にある7種類のコードのうち、2番目のコード→5番目のコードと進んで1番目のコードに解決する運動はスムーズで聴きやすいサウンドをつくります。この曲はGメジャーキーなので、Am→D7→G という流れですね。

と、話しているうちに2回目のBメロがはじまっています。後ろでストリングスのピッチカートが軽快だ。

そしていよいよ、今度こそサビへ突入!

最大レンジの Bon Voyage

最高音からはじまるサビの主旋律は、いままでのどの旋律よりもゆったりと流れてゆきます。

Bon Voyage! よい旅を! という言葉が交わされる様子が目に浮かびます。

出発の日は別れの日でもあるわけで、いろいろ話したいことは山ほどあるけれど、その思いをすべて Bon Voyage! よい旅を! という一言に託すのです。

サビに入って初めてベースのLow-C音(ド)が登場します。

C音の上に組み立てられるCコードは、サブドミナントという最も解放感の強いコード。ベースの最低音とヴァイオリンの最高音が形づくるレンジの広い空間はすべてを受け入れてくれるかのようです。

門出の日特有の寂しさは、ピアノの旋律が物語っています。言いたいことがあるけれど最後まで言い切らないような。

そしてサビの後半のヴァイオリン。あれ、この旋律はもしかして…

まだ曲は続きますがここで一旦終わりにしましょう。興味を持っていただけたでしょうか?

言葉によるイントロダクションはこの辺にして、あとは耳で存分に味わってほしいと思います。

Bon Voyage!

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